1. 背景
目まぐるしく変化する今日の企業活動において、福利厚生でマーケットの一歩先を行くことは極めて重要です。WTWが2年に1度グローバル規模で実施している本サーベイでは、組織の福利厚生戦略を形成する重要な要因、直面する課題や将来計画されている変化について調査しております。 本サーベイは、現在の情勢を調査し、時代の最先端を行くための重要な考察から、貴社の発展に役立つ実用的な気づきを得ていただく機会を提供します。
今年のサーベイでは、組織内での福利厚生の役割、支出計画、優先事項や効果など、幅広いトピックを掘り下げています。また、コミュニケーションやエンゲージメント戦略、テクノロジーの活用、財務管理、ベンダー管理や福利厚生サポートにおけるAIや、特定の従業員グループに対するサポートといった、新たなトレンドについても調査しております。
2. 本調査について
全世界の105の市場に所在する5,538社の企業(24.3百万人の従業員)に参加いただき、日本においても97社の企業(169千人の従業員)に参加いただきました。エリア別では、アジア太平洋地域(APAC)の参加企業数が最も多く、1,994社の企業に参加いただきました。
3. 調査結果の要点
| 課題 | 高まるコストへの懸念 | 予算への圧力と福利厚生コストの上昇により、企業が福利厚生を強化・提供する能力は、これまで以上に制約を受けています。 特に、医療費の増加とウェルビーイングの目標達成の難しさが、最大の課題となっています。 |
| 目標 | 福利厚生をバリュープロポジションの中核に据える意欲 | 人材に関する課題は依然として続いており、企業は福利厚生を人材の獲得・定着、そしてウェルビーイングの向上を図るための手段として活用する計画です。 また、企業は、自社の目的や価値観を示す手段として、福利厚生の質を高めようとしています。 |
| 戦術 | コスト制約下での価値の最大化 | 福利厚生を拡充している企業は少数です。多くの企業は、より多くの選択肢とサポートを通じて従業員が福利厚生を最大限に活用できるよう、支出の再調整を図っています。 また、ベンダーのコスト削減や追加サービスを通じた付加価値の追求、福利厚生チームへの業務拡大、コストとリスクに関する分析の強化などにより、コスト管理を徹底しています。 |
| 注力 | 主要なプレッシャーポイントへの対応と体験価値の向上 | 企業は、家族向け福利厚生など、ウェルビーイングの精神的および経済的側面における、従業員の主要な課題への対応を優先しています。 医療保険や退職給付といった基本的な福利厚生も、引き続き重要な注力分野です。 また、企業は、テクノロジー、ナッジ(行動促進)、ナビゲーションといった手法を活用し、従業員の行動変容を促すソリューションを導入しています。 |
全世界的に、福利厚生の最大の課題は、「コスト」と「予算面の懸念」である、という結果になりました(表1参照)。
特に医療費の増加と従業員のウェルビーイングが課題となっています。日本の医療保険は皆保険制度ですが、日本以外の多数の国では企業が従業員のために福利厚生制度として医療保険を手配しています。WTWが2025年に行ったグローバル・メディカル・トレンド・サーベイ(世界の医療保険会社調査)では、昨今の医療費の高騰で、グローバル全体で3年連続10%のインフレが確認されており、保険会社の報告では今後数年間はこの10%を超える上昇傾向が続くとみています。
その一方で、人材獲得と人材定着、社員のウェルビーイング向上は引き続き重点取り組み事項です。企業は、福利厚生を人材に関する課題解決のための手段として活用しようとしています。
ただし、福利厚生をさらに拡充する企業は少数で、現在ある福利厚生制度を最大限に活用し、費用配分を見直している企業が多い結果となっています。具体的には、ベンダーのコスト削減や追加サービスを通じた付加価値の向上、投資したコストから福利厚生の価値を最大化する施策が検討されています。
加えて、現在企業が注目しているのが、ファイナンシャルウェルビーイングです。ファイナンシャルウェルビーイングとは、「経済的な側面から良好な状態にあること、経済的に安全な状態」を意味しています。WTWが行なった「グローバルベネフィット意識調査(従業員向けのアンケート調査)」によると、従業員はファイナンシャルウェルビーイングについて支援を求めているものの、企業における優先順位は高くなく、従業員と企業の認識にギャップが見られています。
ところで、日本の調査結果を全世界結果と比較すると、従業員の家族のサポートの重要性が高くなっています。2025年に団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となり、介護に携わる従業員が増えてくる懸念と、女性活躍支援に係る出産・育児サポートへの懸念に起因すると考えられます。
4. 各企業の課題
グローバルで企業が直面している最大の課題は福利厚生コストの上昇




