はじめに:エネルギー、資金、供給のジレンマ
再生可能エネルギーは、エネルギー転換の中心的役割を担う、主役と言える存在です。食料生産、物資輸送、都市建設、生活のための電力供給など、あらゆるシステムが転換期にあり、電化はエネルギー産業のキー・ドライバーとなっています。
しかし、ウクライナ紛争、世界的な供給不足、COVID-19のパンデミックにより、エネルギーと食糧の安全保障の危機が進行しています。さらに、急激なインフレとそれに伴う生活費の高騰によって不安定さが増しています。このようなエネルギー危機への対応として、脱化石燃料の動きがかつてないほどの勢いで進んでいます。
これにマーケットは反応しています。国際エネルギー機関(IEA)が2022年12月に発表したレポート*1によると、今後5年間で過去20年間と同量の再生可能エネルギー発電所が増加するとのことで、全世界のエネルギー危機が再生可能エネルギーの導入を後押ししています。
再生可能エネルギー業界に影響を与えるマクロな事象やトレンド――地政学的な事象からウクライナ戦争、送電網の課題、国境を越えた商品やサービスの移動方法の変化、さらに資本の圧迫やデータまでもが、現在のビジネス環境をリスク・マネージャーにとって厳しいものにしています。
再生可能エネルギー・マーケットは不安定な状況にありますが、再生可能エネルギーのリスク・マネージャーはこの荒波をどのようにすれば乗り切れるのでしょうか? 事業運営に影響を与える環境・社会・コーポレート・ガバナンス(ESG)の発展などを含め、検討すべきランドマークがあります。
本稿は、再生可能エネルギーのリスク・マネージャーの方々に向けたものです。今後半年~1年の間に何を考慮する必要があるでしょうか? 基本的には、エネルギー、資金、供給の3つのジレンマです。
- エネルギー:手頃な価格でクリーンな、安全で信頼できるエネルギーを確保する方法とは? エネルギーの安全保障は、今やビジネスの最重要課題であり、現在のような価格変動がない、システム・ショックに耐えうるものである必要があります。また、ネットゼロ・エミッションに沿ったものである必要があります。
- 資金:インフレの進行、金利の上昇、中央銀行による金融引き締めにどう対処すればよいのでしょうか? 世界経済の大部分と資金調達構造、家計、そして事業計画は、超低金利を基に締結されてきました。世界経済はそこから脱却しつつあります。
- 供給:供給が逼迫する中で、より多くの持続可能なエネルギーに対する消費者需要や規制当局の要求に対してどう対応すればよいのでしょうか? 材料費、人件費、輸送費の上昇により、サプライチェーン、貿易、物流、地政学的な問題を管理するためのより高いレジリエンスの必要性が強まっています。




