経過措置の内容
2024年12月の法改正後は、確定給付企業年金(DB)を実施する企業の企業型確定拠出年金(DC)の拠出限度額は、「5.5万円-他制度掛金相当額」となりますが、法施行の際に企業型DCを実施している企業は、以下に記載する経過措置の適用終了の要件に該当しない限り、改正前の限度額である「2.75万円」が適用されます。
経過措置の適用終了要件
- 企業型DCの事業主掛金額の算定方法に関する事項を規約変更した場合
- DBの給付の種類、受給の要件及び額の算定方法、給付の方法を変更することによって、掛金額を再計算した場合
- 施行日以降にDBを実施・終了した場合
2の要件についてもう少し具体的にどの様なケースで経過措置が適用終了に該当するかをご紹介します。
【DB給付設計の変更と経過措置の継続適用の可否の例】
| ケース* | 経過措置の継続適用の可否 | |
|---|---|---|
| A. | 基準給与の変更(例:ポイント制のポイントテーブルの変更) | × |
| B. | キャッシュバランスの再評価率の変更 | × |
| C. | 支給開始年齢の変更(例:定年延長に伴い老齢給付金の支給開始年齢を60歳から65歳に変更) | × |
| D. | 資格喪失の時期に関する変更(例:定年延長に伴い60歳資格喪失を65歳資格喪失に変更) | 〇 |
| E. | 給付算定期間の変更(例:勤続年数別乗率を55歳頭打ちから60歳まで延長) | 〇 |
| F. | 他DBからの権利義務承継によって過去分(基準給与累計額)を増額 | 〇 |
DB規約の記載事項のうち、基本給与、仮想個人勘定残高及び標準給与、給付にかかる事項を変更した場合(但し附則に定めるものは除く)、経過措置終了要件に該当するとされているため、A~Cのケースでは経過措置の継続適用はできません。一方、D〜Fによる規約変更はそれらの要件には該当しないため、引き続き経過措置を適用し続けることができます。
但しA〜Cの規約変更を行った場合でも、財政再計算を行わなかった場合は引き続き経過措置を適用することができます。財政再計算を行うか否かの一つの判断として、厚生労働省による通知において、「端数処理前の他制度掛金相当額が1,000円以上変動する可能性が見込まれる場合は、財政再計算を行う必要がない場合には該当しない」と言及されています。
経過措置の適用単位
経過措置の管理(適用・終了の判断など)はDC規約ごとに実施事業所単位で設定されます。これによって、実施事業所ごとに退職給付制度が異なるなど労働条件が異なるような会社において柔軟に対応することが可能になります。
例えばある会社が事業所AとBが加入するポイント制度のDBとDCを実施しているとします。
この場合、事業所AとBは2024年12月の法改正のタイミングで経過措置が適用されることとなります。
法改正後に事業所AのDB制度で適用しているポイントテーブルを変更したことによって、財政再計算を行うことになったとします。この変更は上で紹介した通り、経過措置の適用終了要件に該当するため、事業所Aは経過措置を適用することができなくなります。一方、事業所Bはこの変更に伴う財政再計算によって他制度掛金相当額が変動する可能性もありますが※、事業所B自体は適用終了要件に該当していないため、引き続き経過措置を適用し続けることになります。






